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規制庁 原子力防災訓練改善へ検討体制を構築

 原子力規制庁は、原子力安全に関する緊急時対応に向けた教育・訓練について、同庁内に新たな検討体制を構築し、今月から具体的な検討を開始する。原子力事業者防災訓練の結果などを踏まえて同庁は、事業者の取り組みと規制の関与が、それぞれ緊急時対応能力の向上につながっているか―の観点から、このほど課題を抽出。今後は、事業者と公開の場で意見交換を行いながら、同課題や事業者の問題意識について議論し、改善策を検討するなどの対応を進める。事業者協力の下で、モデルプラントを選定した試行も行う考えで、これらの検討にあたり同庁は、緊急事態対策監や、緊急事案対策室、原子力規制部専門検査部門などのメンバーで構成する検討体制を設けて、原子力エネルギー協議会(ATENA)を窓口に、関係事業者の参加を得る。

 規制委は、緊急時対応の取り組みに関する課題として、事業者訓練における、〇偏りのある事故シナリオ、〇訓練の重複、〇緊急時対応組織の実効性―を提示。規制の関与については、〇情報共有重視の訓練評価、〇検査と評価による関与、〇訓練への積極的関与―を挙げており、これらの課題への改善策に関しては、順次規制委に諮ると共に、内容に応じて関連の規制・ガイド・内規類の見直しを行う。

 なお、同庁が示した課題のうち、事故シナリオに対しては、多様なシナリオによる訓練が全体的に少なく工夫の余地がある―と指摘。同シナリオに偏りがあることを踏まえると、原子力施設における指揮者の意思決定・対応訓練が質量共に不足しているのではないか―との考えを示した。

 一方で、規制の関与に関しては、根拠法令が異なることにより、規制委の関与が異なる形態をとっていることを指摘した。炉規法に基づくシビアアクシデント訓練などは、原子力規制検査でその実施状況を確認し、安全上の問題があった場合には検査指摘事項として判定。他方、原災法において規制委は、事業者が原子力災害対策を問題なく実施するよう指導・助言することが定められており、実際の運用として、毎年度実施される原子力事業者防災訓練を3段階(A・B・C)で評価している。実務についても、検査は原子力規制部検査グループ、評価は長官官房緊急事案対策室が担っている現状を踏まえて、例えば1回の訓練に対して検査と評価を一体的に実施する―など運用上の工夫で、規制委関与の効率性・実効性を高めることを検討する。