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経産省 系統用蓄電池の導入加速へ支援強化

 経産省は、系統用蓄電池の導入加速に向けた取り組みを強化・推進する。再生可能エネルギーの拡大に伴う電力系統の調整力不足を補填する、同蓄電池や水電解装置の活用を促すため、電力・ガス基本政策小委員会、電力安全小委、制度設計専門会合、系統WGなどの審議会や電力広域的運営推進機関において、制度面の検討を実施。具体的には、〇蓄電事業の法的位置付け、〇保安規制の整備、〇費用負担の在り方、〇参入市場の整備、〇地域間の調整力融通―などを課題に議論を進めているところ。さらに同取り組みの一環として、同省エネ庁はこのほど、今年度創設した同蓄電池等導入支援事業の執行団体を環境共創イニシアチブに決定。今年度補正予算で確保した130億円を充当して、近く同蓄電池と水電解装置導入の補助金公募を開始する。
 再エネの導入拡大により、地域によっては需要が限定的で、再エネの余剰が発生するケースが健在化しているほか、風力などの短周期変動を吸収するための調整力については、必要量が増大する見通し。そうした状況を踏まえて同省は、同補助金を通じて、余剰電力の吸収や調整力の供出が可能な系統用蓄電池の導入加速を図る。同補助金は、系統用蓄電システムの設備費・工事費のうち、2分の1または3分の1以内、水電解装置は同3分の2以内を交付。補助上限はそれぞれ1件あたり25億円、10億円とし、事業者としての適格性、金額の妥当性、工事スケジュールの実現性、適切な安全確保などの確認に加えて、同蓄電池や水電解装置をどのように効果的に活用するか―といった事業モデルの妥当性などを審査し、採択案件を決定する見通し。
 なお制度面の検討では、一定規模以上の系統用蓄電池を用いた蓄電事業は、電気事業法上の「発電事業」と位置付ける方向で議論を進めているほか、同蓄電池に課す託送料金については、揚水と同様に、蓄電ロス分にのみ課金する―と整理。同蓄電池が参入する市場の一つとして、需給調整市場を想定しており、今後開設が予定される一次調整力などの商品に関しても、同蓄電池が参入可能な形で技術要件を整理する。さらに、今年4月から全基幹系統に適用されるノンファーム型接続の電源としても、同蓄電池の容量市場・需給調整市場への参加について今後、検討を進める。