エネ庁 2週間先のkWh余力見通し来月から公表
経産省エネ庁は、電力広域的運営推進機関を通じて来月から「kWh余力率管理」を実施する。今冬に向けた需給対策の一環として、2か月先までの供給力を確認する「kWhモニタリング」を既に開始しており、加えて、2週間先の短期視点の見通しを示す同管理を実施。直近の気象予報をベースとした燃料消費想定に基づき、実需給までに適正なkWhが確保されているか―を確認し、余力の悪化が予見された場合には、一般送配電事業者と連携して需給対策を講じる。1週間に1度程度の頻度で情報更新・公開すると共に、需給逼迫が見込まれる場合には、更新頻度を上げて対応する。
電力10社のLNG在庫は、今月15日時点では積み増し傾向にあり、昨年同時期と比べて約60万t増、過去5年間と比較しても最高水準を維持している。その一方で、先月の電力需要の増加などに伴って、同在庫量は一時的に大きく減少しており、同庁は、引き続き冬季の需給には、予断を許さない状況が続いている―と判断。kWh面からの電力確保状況を確認・公表することで、発電事業者や小売り電気事業者などに、適正なkWhの確保や余力管理を促す考え。
kWhモニタリングでは、石油・LNGを中心とした燃料在庫・調達量を電力量に換算した、燃料に基づくkWh供給力について、発電事業者から情報収集した上で、平年並みの気象と、過去10年間で最も気温が低下した年の、厳気象のリスクシナリオを想定したkWh余力を算定・公表する。今月12日には広域機関が、翌13日から来年1月12日までの期間における、初回のモニタリング結果を公表しており、今後2週間に1度の頻度で更新し、近く直近の結果を公表する。
初回のモニタリング結果では、厳気象を想定した場合の2か月先の見通しについて、対象期間の平均電力消費量の3.8日分に相当する、9327GWhの供給余力がある―と試算。平年並の気温を想定した11月末のkWh余力は、10月に行った需給検証時と比べて約1割低い15755GWhとなった。同庁は同供給余力に関して、例えば100万㎾のベースロード電源の停止で1350GWh程度、太陽光、風力の出力10%低下で1200GWh程度減少することを見込んでおり、そうした電源の計画外停止や需要変動、LNGなどの調達状況により、大きく変動することに注視する考えを示している。