経産省 水素・アンモニア発電の防災対策求め
経産省は、水素・アンモニア発電に対する保安規制の方向性として、技術要件の見直し・新規策定を進めると共に、事業者の保安規程などにおいて、事故・安全評価や具体的な防災・発災時対策を求める考えを示した。水素・アンモニアを利用する場合、各燃料に応じた安全設備を含む新しい設備が必要となるため、技術基準に加えて、国が技術基準との適合性を審査する工事計画や事故報告に対しても、対象設備を追加する必要性を指摘。具体的には、液化水素・アンモニア用貯槽、防液堤、付臭・除害・排水処理などの設備を想定する。また、燃料の大規模漏洩などが万が一発生した場合に備えて、保安体制、主任技術者の職務・権限や、巡視・点検、運転・操作といった事項を記載した、保安規程へ「災害その他非常の場合にとるべき措置」の項目を加えることで、ソフト対策の徹底を事業者に求めるもの。
今年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画は、30年までにガス火力への30%水素混焼と、石炭火力への20%アンモニア混焼を目標に掲げると共に、30年の電源構成において、水素・アンモニアで1%程度を賄うことを見込んだ。一方で水素発電については、関西電力、JERAなどが大規模設備における混焼・専焼の実機実証計画を進めており、このうち関西電は、既設GT火力を活用したプロジェクトを推進。現在取り組んでいるFSを踏まえて、23年度から詳細設計を開始し、25年度にも水素の受け入れ・貯蔵からガス化、発電まで一連にわたる、水素発電の運転・保守・安全対策などに関する運用技術の実証を予定している。またアンモニア発電に関しては、JERAが碧南火力4号機(100万㎾)において、来年度から段階的に詳細設計を開始し、24年度にも20%混焼の実証を行う見通し。
これらの実証計画を視野に同省は、商用規模の発電を見据えた保安規制について、今年度中にも技術的課題を洗い出した上で、事業者による実証の結果なども踏まえて、来年度上期の改正を目指す。現行規定では、1000㎾クラスの汽力・GTを前提とした水素発電の技術基準や、脱硝用の液化ガス設備に関するアンモニアの規定はあるものの、10万㎾以上の大規模水素発電向けのボイラー・タービン・貯槽や、内燃機関による水素発電、発電用燃料としてのアンモニア利用などの技術基準は整備されていない。