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エネ庁 今冬供給力の公募要綱案を月末公表

 経産省エネ庁は、今冬における不足供給力の追加確保策として実施する、調整力公募の詳細を固め、今月末にも公募要綱案を公表する見通しを示した。調整力の公募は本来、各一般送配電事業者が翌年度分の調整力を調達するための制度で、今年度分は既に調達済みだが、供給力不足の顕在化を踏まえて、年度途中で追加実施するもの。具体的には、東京電力パワーグリッド(PG)を実施主体に、東京エリアにおいて冬季に見込まれる不足量として、1月分の約35万㎾、2月分の約55万㎾を賄う容量を募集する。同募集では、ピーク需要の時間帯(朝・夕)の供給を要件に、公募により価格を決定。入札価格の妥当性については、事前に取りまとめた価格規律のルールに則り、電力・ガス取引監視等委員会が確認する。具体的な手続きや要件は、国や電力広域的運営推進機関と連携して、東電PGが検討する。
 同公募では、電源に加えてデマンドレスポンス(DR)も調達対象とし、今年3月に提出された供給計画において、22年1月と2月の時点で供給力として計上されていないものを募集する。運転継続時間は5時間以上、または3時間以上で1日2回以上―の発動が可能であることが基本要件。市場への供出は、過去5年間の東京エリアにおける予備率実績を踏まえて、前日夕方または当日朝の段階で、需要最大時の予備率見通しが5%を下回る場合に、東電PGが速やかに要請する仕組みを想定する。また、落札電源に関しては、供給安定性、競争性を高める観点から、一定程度(最大25万㎾)まで募集容量の超過を許容すると共に、入札価格の妥当性は監視委などが事後的に確認し、大きな影響力のある大規模電源には特に、厳格な確認を行う。
 公募での評価対象とする㎾価格は、電源の稼働またはDRの確保に必要な固定費など、kWh価格は市場への最低供出要件を満たす際に必要となる変動費とし、これらの総額の低い案件から順に落札する方式を採用する。また、今回の公募に要する費用は、託送料金を通じて回収されることから、市場などの供出により得た利益は、一般送配電事業者に還元し、同費用の抑制に充当。一方で、落札者へのインセンティブとして、最低拠出要件分以外の運用によって得られた利益の一部を、発電事業者などが受け取れる仕組みを設ける。なお同庁は、今回の公募を契機に、供計でいたずらに休廃止を装い、供給力として非計上とする行為を誘発しないよう、今後対応策を検討する考えを示している。