九州送配電 伐採樹木を動物の餌に有効活用
九州電力送配電は、停電の未然防止のために伐採した樹木を、福岡県大牟田市の市営動物園に提供し、動物の餌として有効活用する画期的な取り組みを開始した。安定供給のために伐採・廃棄している樹木のうち、キリンが好んで食べるエノキやカシなど9品種を「延命動物園」の愛称で市民に親しまれている市営動物園に提供することで、3Rの推進と伐採樹木の保管・処分コストの削減、さらに地域文化の支援につながる全国的にも珍しい環境活動だ。通常、伐採した樹木は土地所有者の責任で処分しているが、それが難しい場合には九州送配電が引き取っている。その場合、樹木の保管と粉砕場所の確保、処分費用が必要となることから、同社の大牟田配電事業所が、延命動物園で管理する草食動物への餌としての利用を、同動物園に提案した。
同園では、飼育する2頭のキリンの餌用に、職員自らが園内の木を伐採して調達したり、造園業者から提供を受けたりしていたが「手間がかかる上、新鮮な木々の確保が難しかった」ことから、同所の申し出を快諾。先月末より2頭のキリンにとって1週間分の餌となる2tトラック1台分の伐採樹木の提供を受けている。同園によれば「これまでは伐採から時間が経過した樹木を餌にしていたため、キリンの食いつきが悪かったが、提供していただいた樹木はリンとプリン(キリンの名前)にも大変好評」という。キリンの食用に用いることが可能な国内の樹木は「葉好みするので約20品種に限られる」(同園)ため、大牟田配電事業所では、現場用にキリンの餌となるエノキやカシ、ケヤキなど9品種を判別するための写真付き資料も作成。次回は今月末に、同園が派遣するトラックに用意した伐採樹木の提供を行う。総面積4.4万㎡の広大な敷地内に55種・271頭の動物を飼育する同園は「動物をとおした こころの交流」をコンセプトにしており、九州電グループの思い「ずっと先まで、明るくしたい。」に基づく、九州送配電からのプレゼントに感謝している。なお、全国の動物園で組織する日本動物園水族館協会(東京都台東区)によれば「電力会社からの会員動物園に対するの伐採樹木の餌としての提供は、今回がおそらく初めてではないか」という。