北海道電 物流事業者の支援で官民研究に着手
北海道電力は、新型コロナウイルスの影響による需要の増大で、人員不足が社会問題化している配送事業への支援を目指した新たな取り組みを開始した。物流事業者が配送や配達に用いる車両を専用のEVに替えると共に、仕分け所などで用いているリフトを、太陽光から給電した交換式バッテリー方式の電動リフトに改めることで「物流に関するエネルギー起源CO2の排出抑制につなげる」(環境省地球環境局地球温暖化対策課)ための「配送拠点等エネルギーステーション化による地域貢献型脱炭素物流等構築事業」という同省の採択事業。北海道電は、石狩市や物流事業の北海道物流開発(札幌市)などとの官民で、計画推進組織「同検討懇話会」をこのほど立ち上げ、来年3月末まで計2回の会合を開催して、具体的な事業計画や事業採算性、さらに取り組みに伴って見込めるCO2削減量などを試算する。
想定する事業モデルとしては、コンビニなどへの配送に加えて「少量でこまめな補充が求められる食品自動販売機向けの配送にEVを使用する」(北海道物流開発)考えで、配送エリアが広大な北海道の地域・道路特性を踏まえて「当初は配送エリアを都市部に限定し、事業性が確認されれば道内全体に拡大する」(同)考えだ。さらに災害時には、避難所などに電動リフトの交換式バッテリーを提供して、有事における道民のセキュリティ向上にもつなげる。なお、既報のように北海道電は、同懇話会にも参加する石狩市と共同で、市が40年を達成年に実現を目指す「省エネ地産地消による域内循環創出・地域づくりイノベーション事業」にも協力しており、同事業でも「21年より北海道電の支援を得て、 物流・情報産業の脱炭素化に向けた官民共同研究を開始する予定」(市企画経済部企業連携推進課)という。