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東電HD グループ大でこれからの尾瀬を創造

 東京電力ホールディングス(HD)が、特別保護地区の約7割(公園全体では約4割)を所有する尾瀬国立公園内の全屋内施設(計20か所)で、au携帯電話が使用できるようになって丸1年余が経った。「土地保有者としての責任と誇り」(東電HD)を矜持に、同社が長年にわたってグループ大で自然保護に取り組む尾瀬は、日本最大の山岳湿地として国の特別天然記念物に指定されている上、国連のラムサール条約湿地にも登録される世界の財産であることから、群馬、福島、新潟、栃木4県と東電HDは、〇希少動植物に悪影響をもたらす、〇尾瀬の静かな景観を損ねる、〇歩きスマホによる事故が増える、〇国立公園であるために基地局を新たに設けることが難しい―などの理由から、携帯電話のエリア化については慎重な姿勢をとってきた。
 しかし、来訪者の利便性向上や急病など緊急時の通信確保を目的に、尾瀬における携帯のエリア化を希望するKDDIの意向を踏まえ、各自治体と東電HDが同社と協議を重ねた結果、山小屋やビジターセンターの建物内のみでの通信に限定し、利用状況をモニタリングすることを条件に、17年9月よりKKDIが、尾瀬内の6か所の山小屋と休憩所(鳩待山荘、至仏山荘、東電小屋、元湯山荘、尾瀬沼山荘、大清水休憩所)を管理する東京パワーテクノロジーの協力を得て、各山小屋における通信エリア対策工事を開始。19年9月に同工事が完了したことから以来、全山小屋の建物内においてauの携帯が利用できるようになった。工事では環境への配慮に力点を置き、至仏山荘の場合、基地局を小屋内の床下に設置した上、衛星からの電波を受信するアンテナも小屋脇の目立たないところに設けた―という。
 そのほか、東京パワーテクノロジーは、前記6施設へのウォッシュレットトイレの配備や、東電小屋と富士見峠公衆トイレへの太陽光設備の導入、至仏山荘へのエコキュートの導入―などよって、尾瀬を訪れる年間数十万人の雑排水がもたらす水質の悪化防止と水源の保護を図っている。既報のように、総延長65㎞にもおよぶ木道の整備と、来訪者によって荒廃した湿原の回復を進める東電HDは「SDGsの達成も視野に、グループ大でこれからの尾瀬を創造していく」という。なお、東京パワーテクノロジーは今月3日付けで、今年度における尾瀬内施設の営業を終了した。