エネ庁 一般送配電へ配電事業制度で協力を要請
経産省エネ庁は一般送配電事業者に対して、配電事業者制度の導入に伴い新規参入した配電事業者が担う、配電業務への協力を求める。今年6月に成立したエネルギー供給強靭化法に基づき、配電事業が法律上位置付けられたことで、配電事業者は特定のエリアにおいて、一般送配電事業者が従来担ってきた安定供給の維持、料金精算、設備の保安・維持・管理などに関する業務を引き継ぐことになる。
具体的には、電力量調整供給・周波数維持、検針、計画量データ管理、精算実務といった業務が、配電事業者に義務付けられる。このうち電力量調整供給・周波数維持については、配電事業エリアと一般送配電事業エリアとの間をつなぐ連系点には容量制約がなく、一般送配電事業者は配電事業エリアも含めた調整力を確保している実態を踏まえて、制度開始当初においては、同業務を一般送配電事業者に委託し、一般送配電事業者が配電事業エリアを含めて一体的に需給調整を行うことを認める。また、30分電力量などを取得し、小売り電気事業者へ提供するといった検針、計画値データ管理業務には、システムの構築や検針員の雇用が必要となり、一般送配電事業者によりメータリングシステムが全国大で構築されつつある現状を勘案して、同業務についても一般送配電事業者に委託できる仕組みとし、一般送配電事業者には、正当な理由がある場合を除いて、これらの業務委託に関する協議に応じることを求める。
なお同省は、配電事業をはじめ特定送配電事業、特定供給、自己託送などの分散型グリッド導入の取り組みは、災害時のレジリエンス(回復力)の強化、太陽光、EVといった分散型リソースの活用、AI・IoTを活用した効率的な運用などを進める上で重要―と指摘。電力広域的運営推進機関、一般送配電事業者などとの間で必要となる、契約・ルール・システムや先進事例などを整理した「分散システム導入プラン(仮称)」を策定し、配電事業に限らず各制度の特徴を踏まえて、適材適所で活用を推進する考え。