中部電 青森県むつ市で新規地熱の試掘調査開始
中部電力は、自社グループにとって中尾地熱(仮称、 1998㎾)に続く2施設目となる新規地熱の事業性を検証するために、青森県むつ市で試掘調査を開始する。調査地は、市内大畑町大赤川地区周辺の国道279号から、西側に直線距離で3㎞の地点で、今月より年内一杯かけて深さ約1500mまで掘削する。試掘は12月末まで行い、この間、地下構造や地熱資源の状況を直接確認する。既報のように中部電は「新規地熱による発電や熱利用などを通じた地域振興」(市企画政策部)を目指して、17年に市、弘前大学地域戦略研究所と「燧岳地熱資源開発のための調査事業に関する連携協定」を締結。同協定に基づいてこれまで、温泉モニタリングや温泉メカニズム調査、電磁・重力探査、地表踏査(貫入岩・断層等調査)、地表調査などを実施した結果、新規地熱の有望地点として今回の試掘箇所を決定すると共に、中部電が実施主体となって試掘調査を主導し、年度内に結果を解析することになったもの。
候補地周辺は、980年代にNEDOが行った事前調査で、地熱事業の目安となる200℃を超える地下水の存在が明らかになっており、新規地熱の発電規模は「2000㎾程度を見込んでいる」(同)という。また市は、新規地熱の候補地が寒冷地に位置することを踏まえて、中部電グループの持つ豊富な技術と知見を活かして、地熱を発電のほか、融雪や農業などの分野でも幅広く活用していく考えだ。
なお、中部電グループ初の地熱として、シーエナジーが東芝エネルギーシステムズと共同で建設を計画する中尾地熱は、当初計画では今月中に着工する予定だったが「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、着工時期が遅れている」(東芝エネルギーシステムズ)という。同地熱は、岐阜県高山市の奥飛騨温泉郷中尾地区に、事業会社の中尾地熱(出資比率は東芝エネルギーシステムズ55% シーエナジー45%)が建設を進める「中部地区では初めてとなる、フラッシュ方式(蒸気発電方式)を採用した地熱」(シーエナジー)で、21年度下期中の運開予定。なお、営業運転開始後は、発電電力の全量を、中部電力パワーグリッドに売電する。