主な記事 詳細

過去の主な記事

原子力11社 OPC自動検知SY導入へ高浜で試運用

 原子力事業者11社は、12年1月に米国の原子力バイロン2号機で定格出力運転中に発生した1相開放故障(OPC)を踏まえた措置として、OPCを既設リレーなどで検知することが困難な変圧器を対象に、OPC自動検知システムを導入する。OPCへの対応について国内の原子力事業者は、設置許可基準規則に基づき、既設の保護リレーなどで検知できない箇所では、運転員の巡視点検や受電ライン切り替え前後の点検などにより事象を検知。OPC発生時の兆候とその対応を運転員に教育し、手順として定めるなどOPCによるプラント影響を防止できる体制を構築している。そのため常時外部電源を受電する起動変圧器のラインでOPCが発生した場合でも、非常用高圧母線の電動機が連続的に過電流トリップするなどの兆候により、速やかに非常用ディーゼル発電機などの健全な電源に切り替えることが可能。同運用について11社は、リスク上喫緊の問題はない―との考えを示した上で、非常用高圧母線への外部電源受電ラインに架線を含む場合で、OPCを既設の保護リレーなどで検知できない変圧器は、事象発生から把握までにタイムラグがあることから、さらなる改善が必要―と判断し、OPC自動検知システムの設置を決めたもの。
 11社はこれまでに、海外情報を収集すると共に、同システムの開発・検証を行い、このほど実機導入の目途が立ったため、今年度中にも代表プラントとして関西電力・高浜原子力(計339・2万㎾)で試運用を開始。同原子力の予備変圧器に試験導入し、実機環境での誤検知の有無などを検証する。同試運用を踏まえて各社も来年度以降、非常用高圧母線に給電可能な変圧器のうち、変圧器1次側の接続に架線設備を含まない変圧器と、通常運転状態において常時複数回線から受電している変圧器を除く変圧器を対象に設置し、運転員に対する警報発信用として使用する。