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関西電 宇治市が志津川水力を新しい観光名所に

 関西電力が所有する旧・志津川水力(964年廃止)を中心に、喜撰山(46・6万㎾)、天ヶ瀬(9.2万㎾)の両水力が取水する天ケ瀬ダムを含めた周辺地域一帯を再開発して「市の新たな観光拠点にする」(京都府宇治市)ための、官民連携プロジェクトがスタートする。国交省が主導するインフラツーリズムに基づく取り組みで、924(大正13)年に運開し、24年に100周年を迎える志津川水力のメモリアル事業となりそうだ。同プロジェクトを主導する市の計画では、赤れんが造りの志津川水力の重厚な外観・内装を極力残しながら、同水力をリノベーションして客室数68のホテルを新設すると共に、同水力の敷地内に、運開以来、天ケ瀬ダムが完成するまでの40年間にわたって地域の近代化を支えてきた同水力の歴史と役割を伝えるミュージアムや、MICE(大規模会議会場)、飲食・物販施設などを整備する。
 さらに、周辺の天ケ瀬ダムや天ケ瀬森林公園などにも、新たなアクティビティ施設や展望テラス、散策路、駐車場を設けて「関西電や天ケ瀬ダムを管理する国交省との官民連携のスキームで、3つの施設・エリアを一体的に整備・管理・運営する」(市観光振興課)ことで、観光客が集中する平等院などがある中宇治地域に比べて「賑わいの少ない宇治川~天ケ瀬ダムエリアを、市の新たな観光拠点に位置付け、誘客によって地域活性化につなげる」のが狙い。
 そのため市は、今年度より、関西電を迎えた事業検討組織を立ち上げて、官民間の合意形成を図った上で事業計画を策定し、21年度上期中に事業者の募集を開始。同年度末に着工し、最速で「22年度中の完成を目指す」考えだ。ただし、コロナ禍の収束が計画の前提となるため「各目標年度はあくまでも予定」という。なお、素案では、志津川水力は、既設の南棟を補強して、ミュージアムとして活用する考えで、北棟は解体した場所に新たな新北棟を設ける。さらに、南棟の東側にもアネックス棟を設け、これにより宿泊施設の延床面積は、4800㎡程度となる見通しだ。