JICA 電力とバングラデシュで火力準備調査
東京電力ホールディングス(HD)とJパワーが、それぞれ情報収集・確認調査を行ったバングラデシュ人民共和国における「マタバリ超々臨界圧石炭火力整備プロジェクト」に関して、JICAはこのほど、事業開始に向けた「フェーズ2準備調査」を、日本の電力の協力を得て進める方針を決定した。既報のように同事業は、同国南東部のチッタゴン管区タバリ地区に、バングラデシュでは初めてとなる高効率超々臨界圧石炭火力(計120万㎾)を新設すると共に、これに併せて燃料を荷揚げする専用湾と付随する関連設備などを建設する大規模国家プロジェクト。日本政府はこれまで、円借款として第1期(14年)の415億円を端緒に、総額1431億円(限度額)に上る円借款供与契約を同国政府との間で交わしており、担務部門となるJICAが、Jパワーに委託して15年に「南部チッタゴン地域の総合開発プロジェクトに関する情報収集・確認調査」を実施。同様に東電HDも、同プロジェクトの一環となる「マタバリ地区石炭ターミナル建設・運営事業準備調査」、さらに東電設計と共同での「同火力建設に向けた準備調査」「電力マスタープラン改訂に係る情報収集・確認調査」を15~16年に行って、調査結果を集約した。
これらの調査結果に基づいて、JICAが今年9月(予定)を目処に新たに開始するフェーズ2準備調査は、新設する超々臨界圧石炭火力の事業費や実施体制、スケジュール、運転・維持管理体制、環境社会配慮など「日本政府が有償資金協力事業として実施するための審査に必要となる諸データの収集を目的に実施する」(JICA)もの。調査期間は、今年9月10日~来年9月30日までを予定しているが、現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響による渡航制限措置が採られているため「研修期間に変更が生じる可能性もある」(同)という。JICAは現在、調査を委託する電力の選考を行っており、8月までに委託先を決定したい考えだ。なお、同火力の着工は24年を予定しており、運開により、ダッカ首都圏の電力ニーズの30%に相当する年間7865GWh(ギガワットアワー)の発電量の積み増しにより、世界の最貧国の1つとして知られるバングラデシュの経済成長の加速と社会脆弱性の克服が期待される。