農水省 経産省や電力が協力しスマート農業推進
農水省は、新型コロナウイルス感染症に伴う労働力不足の解消に向けた緊急対策として、経産省や内閣府、電力各社など官民の協力を得て、来たるべき「新しい日常」に備えた「農林水産研究イノベーション戦略2020」を策定した。同戦略は「食料・農業・農村基本計画に基づき、農林水産分野におけるイノベーションを創出して、ソサエティー5.0(政府が提唱する超スマート社会の意)を実現するための取り組み」(農水省)で、重点分野に「スマート農業」「環境」「バイオ」の3領域を位置付け「世界トップレベルのイノベーションを創出して、各目標の早期実現を目指す」(同)ための具体的なビジョンとなるもの。このうち、スマート農業分野では、喫緊の課題となっている新型コロナ禍への対策として「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」を、今年度より緊急的に実施。新サービス創出のためのプラットフォームを早期に創設し、関連ビジネスモデルの創出や、導入コストの低減を図るためのスキームを構築し、これらを推進するための「スマート農業推進サービス育成プログラム(仮称)」を策定する。こうした取り組みにより、早期に「あらゆるスマート機器をデータで管理可能なデータ駆動型スマート農業の実現」(同)を目指す。
そのため、研究開発段階から社会実装に至るまで、人材と知・資金が好循環する仕組みを構築し、産学官と農業の生産現場が一体となった「産学官現」 によるイノベーションの創出を推進する。電力10社が参加する農業電化協会も
「電力業界がこれまで培ってきた製品管理や設備保守の技術・ノウハウ、人員配置や気象予測など、農業に生かせることは多い」(三澤俊哉・事務局長)とみており、研究の企画段階から電力などの様々な業界と連携し「標準化すべき技術を特定した上で、国内外の標準化に向けた活動に取り組む」(同)考えだ。さらに内閣府が主導する国家プロジェクト「SIP(エネルギーキャリア、インフラ維持管理・更新・マネジメント技術、次世代農林水産業創造技術など10課題について、規制・制度を所管する関係府省が連携して研究から社会実装までを推進するオールジャパンの取り組み)」とも連動させて「コロナ後の日本再生」を目指す。