関西電 舞鶴市に寄贈した隧道が市民の生活支援
関西電力が、舞鶴火力(石炭・木質ペレット、計180万㎾)の建設工事の際の付け替え道路として整備し、各工区の完工に合わせて994~999年に、同火力が立地する京都府舞鶴市に寄贈した3つの私製トンネルが、四半世紀を経て「地域に欠かせない生活道路として、市民のライフラインを支えている」(市総務課)という。京都府と福井県の間にある大浦半島の舞鶴湾に面した同エリアは「長い間、各村落間のアクセスが極めて悪い地域となっていた」(同)が、そうした事情を知った関西電が、994年に平トンネル(延長1618m)を市に寄贈したのを端緒に、998年には工事用道路として整備した瀬崎トンネル(同320m)を、さらに999年にも、大丹生トンネル(同1033m)を寄贈して、管理を市に移管した。今では3トンネル共に、地域コミュニティを側面から支える「市民ルート」となっている。
軍港と共に発展してきた舞鶴市は、旧日本海軍が整備した北吸トンネル(998年に国の補修登録有形文化財に)など、市管理のトンネルが関西電から寄贈された3本を含めて計10本もあり「管理する数は近隣の市町と比べて際立って多い」(同)という。そのため市は、全トンネルを対象にした「長寿命化修繕計画」を策定し、今年度より平、大丹生両トンネルを含む5つのトンネルを対象に「2・17億円の予算で、照明器具の更新やコンクリートの補修を進めて市民生活の維持と安寧を図る」(市土木課)という。なお、瀬崎トンネルについては「24年度に大規模補修工事を行う予定」(同)。トンネルの点検は、12年に山梨県で起きた「中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故」を踏まえて、5年に1度行うことが、道路管理者に義務付けられている。