関西電など タンザニアでコロナ予防対策推進
関西電力が、プラットフォーム事業のWASSHA(ワッシャ、東京都文京区)と協力し、東アフリカのタンザニア連合共和国で展開する「太陽光充電式LEDランタンのレンタル事業」のスキームを利用して、国連の主導で今夏より、新型コロナウイルスの予防・防疫対策が進められることになった。既報のように関西電は、アフリカ最貧国の一つとして知られ、電化率がわずか32・8%に留まっている同国に「新たな価値の提供と地域経済の発展に寄与する」(関西電)ため、同国の夜間照明の柱となっている灯油ランプの替わりに、燃料費が廉価で環境性にも優れた太陽光パネル付きLEDランタンを住民にレンタルで提供する国際貢献事業を展開して、世界的に高い評価を得ている。
同事業は、関西電が必要機材(太陽光パネル、LEDランタン、スマートフォン、盗難防止用のアンロック・ボックス)を調達して、WASSHAに貸与。同社がタンザニアの各地域のキオスクと提携して、各店舗の屋根で日中、太陽光パネルで充電したLEDランタンとスマホ、盗難防止用ボックスをセットにして住民に貸し出し、利用者はスマホに搭載されたアプリでランタンのロックを解除した上で、夜間照明として使用(15時間点灯)後、翌朝にキオスクに返却する―というサービスフローに基づくメセナ。
今回新たに、国連のWFP(ワールドフードプログラム)タンザニア事務所(本部・同国ダルエスサラーム市)が、ワッシャと協力して行う新規プロジェクトは、同国のドドマ、シンギダ両州内の各村に設けられているVICOBA(ビコバ)と呼ばれる互助組織に、LEDランタンのレンタルサービスを委託し、ビコバの主導で電力サービスを行うことで、同組織に収入機会を、さらに地域住民にはクリーンな灯りと携帯充電サービスを提供すると共に、同サービスを通じた住民との接触機会を通じて、タンザニアにおいても急速に感染が拡大している新型コロナウイルスの予防と感染抑止のための知見・情報の提供を行う―というもの。
アフリカ各国は、日本よりも検査・治療体制の整備が十分でない上、国民性などの違いから「元々、ソーシャルディスタンスが近いライフスタイルになっている」(外務省)ため、今後、感染者・死亡者が増大することをWHOも懸念している。そのため、WFPタンザニア事務所では「現在、外出制限により室内にいる時間が長くなっている中で、クリーンで明るいLEDの照明を利用できるようになることは、住民に灯りに加えて安心感も提供することにつながる」として、関西電などが立案したスキームに期待している。