経産省 大崎火力構内にカーボンR拠点新設へ
経産省は今年度から、NEDOの委託事業としてカーボンリサイクル実証に向けた取り組みを開始する。中国電力とJパワーが出資する大崎クールジェンが、広島県の大崎上島町で実施中の、酸素吹きIGCC(16・6万㎾)とCO2の分離・回収に関する実証事業の場を活用し、CO2を資源として有効利用するカーボンリサイクル研究のための実証環境を来年度中にも整備。幅広い分野の研究者が集い、研究開発・実証事業を集中的・横断的に実施する拠点を設けて、カーボンリサイクル技術を30年度を目処に実用化させる。
具体的には、高純度のCO2が得られる実証設備が設置された中国電・大崎火力(25・9万㎾、11年12月から長期計画停止中)の構内に、複数の企業・大学がCO2有効利用のための要素技術開発や、実証試験などを行う研究開発拠点を来年度中にも新設。その後22年度からの開始を予定する、同拠点におけるパイロットスケールの実用化研究に対しても同省は、委託事業として24年度まで集中的に後押しする。
同省は19年6月に「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を策定し、CO2を分離・回収することで、鉱物化や人工光合成、メタネーションによる素材・燃料への利用などと共に、大気中へのCO2排出を抑制していく方針を提示。さらに同9月には、カーボンリサイクル産学官国際会議の場で、①相互交流の推進(Caravan)、②実証研究拠点の整備(Center of Research)、③国際共同研究の推進(Collaboration)―の3つのCのアクション「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」に取り組むことを示している。これらの方針を踏まえて同省は、カーボンリサイクル技術の開発を効率的に進めるためには、CO2の分離・回収が行われている場所において、技術開発を重点的に進める必要がある―と判断。新たな研究開発拠点では、同ロードマップに示すバイオ燃料、化学品、炭酸塩などの技術分野に関する実用化研究を行うと共に、「様々なカーボンリサイクル技術のショーケース」(同省)として、万博などの機会も活用し、日本の技術を世界にアピールする考え。