経産省 スマート保安推進へ技術実証への支援強化
経産省は、このほど成立した今年度補正予算20憶円を充当し、電力など産業インフラの保安高度化に向けた取り組みを強化する。産業保安人材の高齢化や設備の高経年化など、喫緊の課題を抱える産業インフラの安全性・効率性を維持・向上させると共に、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の拡大といった緊急事態においても産業保安を確保するためには、IoT、AIなどの新技術を活用した、スマート保安のさらなる推進が必要―と判断。新たに産業保安高度化推進事業を立ち上げて、産業インフラの遠隔監視・制御、AIによる設備点検作業の自動化などを目指す、スマート保安技術の実証に対して補助金を交付する。さらにAIの誤判断などのリスクを回避するため、民間に委託してAI信頼性評価ガイドラインを策定。規制の合理化や制度見直し、スマート保安の普及に必要な調査などを実施し、高度技術に対応した制度を整備する。
このうちスマート保安技術実証として同省は、鉄塔管理のスマート化や発電所の遠隔モニタリング・制御をはじめ、産業保安AI、防爆使用のドローン開発などの実証を想定。鉄塔管理実証では、風圧などの無線センサーによる遠隔監視、リアルタイムでの風圧や塩害などのリスク把握・予知、従来の定期的な保守・点検から劣化状況に応じた方式の導入―に関する実証を後押しする考え。また、ベテラン作業員が現場で実施している発電所の保守・点検作業を、カメラ・計器などによる遠隔モニタリング・制御で代替する方式の検討を進め、保安人材の高齢化などに対応する。