電ガ監視委 発電所稼働状況の情報開示強化へ
電力・ガス取引監視等委員会は、卸電力市場の透明性を確保する観点から、発電所の稼働状況に関する情報開示の強化に向けた検討を進める。10万㎾以上の発電ユニットにおける、電力系統からの解列を伴う計画停止・計画外停止については、卸電力市場の価格に重大な影響を及ぼす事実として、現行の適正取引ガイドライン(GL)がインサイダー情報に定めており、発電事業者に対して、日本卸電力取引所の発電所情報公開システム(HJKS)において速やかに公表することを求めている。一方で、解列を伴わない発電ユニットの出力低下といった稼働状況に関しては、現行GLの公表対象とはなっておらず、昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画は、計画停止・計画外停止と同様に、市場価格に重大な影響を及ぼし得る発電所の稼働状況などに関する情報開示について、「適切でタイムリーな開示」に向けた検討を進めることを示している。
同方針を踏まえて、同委が旧一般電気事業者などに対して実施した調査の結果、10万㎾以上の出力低下が24時間以上継続するケースとして、復水器の内部点検、熱交換器の水洗作業、電気集塵装置の点検といった設備点検や、タービン、ボイラー付属設備などの不具合、公害防止協定による制約、燃料制約などの事象があることが分かった。さらに、これらの出力低下は、旧一般電気事業者の過去1年間の計画外停止(1時間あたり約230万㎾)の約2割に相当することが判明しており、解列には至らないものの、こうした出力低下が市場価格に影響を及ぼし得ることから同委は、発電ユニットにおける一定の出力低下についても、HJKSの掲載対象に加える方向で検討を進めるもの。
具体的には、出力低下が24時間以上継続することが明らかに見込まれる状況について、適時公表の対象とするよう、適取GLを改正する。また、同公表は出力低下の見込みが定まった後、速やかに行うことを定めると共に、出力低下の理由については、燃料制約といった特定個社の機密情報が開示された場合に、燃料価格の高騰や調達先からの燃料の売り惜しみなどが起こり、需要家の利益の毀損につながる恐れもあるため、現行のHJKSの計画停止・計画外停止と同様に、事業者の任意による開示とする考え。