経産省 電気保安スマート化で点検頻度の緩和検討
経産省は今年度、電気保安のスマート化に向けた検討の一環として、点検頻度の緩和に関する具体案を作成する。災害時やパンデミック発生時においても、保安管理業務を滞りなく実施するためには、既存技術に加えてIoT・AIといった新技術の活用により、保安管理のレベルを落とさずに電力安全業務を高度化する「スマート保安」が必要―と指摘しており、点検頻度告示に基づいて電気主任技術者が行っている、現行の自家用電気工作物の点検について、スマート保安技術の導入による大幅な効率化を図る考え。
低圧電路での絶縁状態の適格な監視が可能な装置を有するなどの条件を満たす、信頼性の高い需要設備に対しては、低圧部の電気事故に至る前に予兆を感知し、対処が可能であることから既に、隔月に1回以上の点検に緩和するといった取り組みが行われており、同省は昨年度、現状のスマート保安技術に関して、月次点検に適用した場合の具体的な費用対効果を調査。その結果から、代表的なスマート保安技術の導入・維持に関する費用と、それによる点検費用の削減効果、導入後の経済的効果をはじめ、点検時間の削減効果、外部委託件数増加の可能性についても試算した。
これを踏まえて同省は今年度、スマート保安につながる技術が、保安管理業務へ容易に導入される制度の検討を進める。具体的には、外部委託承認制度における、外部委託先と受託者それぞれがメリットを得られる仕組みの構築、スマート保安技術の導入によって出現するサイバー攻撃などの新たな脅威への対応、情報ネットワークなどの新たな保安管理体制の構築、電気主任技術者を含む保安管理業務の従事者に必要とされる技能要件・習得の仕組み―などを課題に具体策を検討し、点検頻度見直しの議論につなげる。