九州電、西日本技開 ペルーに地熱技術を供与
九州電力は、自社で保有する八丁原(11万㎾)や山川(3万㎾)など6地熱(計21・2万㎾、八丁原バイナリー含む)を通じて培った地熱事業に関する豊富な技術と知見を、南米のペルー共和国に供与して、同国初となる地熱の事業化に協力する。ペルーの電源構成は、直近の18年時点で水力56・0%、火力39・9%、再生可能エネルギー4.1%となっており、現時点では地熱設備を保有していないものの、10年に発令した大統領令で示した「再エネに重点を置いた電源構成の多様化を目指す」に基づき、同国エネルギー鉱山省が「40年までに150万㎾の地熱開発を行う」との具体的数値目標を打ち出している。この達成を目指してペルー政府は、国内の32地点を地熱事業の候補地に選出して、民間企業に探査権を与えると共に、国主導の地熱開発を進めるため、これまで鉱工業分野における資源探査を中心に行ってきた「鉱業冶金地質研究所」を、地熱開発の専門部門に位置付け、同研究所の技術者に対する地熱技術の移転と職員研修を、同分野で豊富な実績を持つ日本の電力に行って欲しい―との意向を、日本政府に要請していた。
これを受けて政府は昨年12月、JICAとペルー鉱業冶金地質研究所が「地熱資源評価能力強化プロジェクト」の立ち上げに関する2国間技術協力プロジェクト合意文書を締結。同事業の履行のため、九州電グループの西日本技術開発に委託して、今月19日から22年9月30日まで、ペルーの首都リマ市や、新規地熱の開発候補地となっている同国タクナ州の2地点(20年度はヴィラコタ・アンココーロ地区、21年度はカリエンテ・アイチューロ地区を予定)で、ペルー鉱業冶金地質研究所の技術者(同国エネルギー鉱山省電力総局の職員も含む)を対象に、地質構造やリモートセンシングデータの解析に関する様々なトレーニングと研修を行って、九州電が有する地熱技術と知見を供与する。