中部電 停電対策で静岡県内各市と計画伐採推進
中部電力は、静岡県掛川市などと協力して、停電の事前防止を目的とした山間地などでの樹木の計画伐採を、来年度(予定)より開始する。同取り組みは、18年9月に中部地方に大きな被害をもたらした台風21、24号による停電(両台風を合わせた全社大での最大停電戸数は171万戸)の際に「山間部を中心に多数の倒木対応を要したために復旧作業が難航した」(中部電)ことを教訓に、同社が同年11月に発表したアクション・プランの中で打ち出した「自治体などとの情報共有・連携~ライフライン保全対策の推進」に基づく取り組み。既報のように中部電は、愛知・岐阜・長野3県で先行実施している、自治体と連携した計画伐採の成果を活かして「全社大で自治体との協議を進める」(同)考えで、掛川市との取り組みもその一環となるもの。
前記方針に基づき中部電は同年12月、電力ネットワークカンパニー静岡支社と掛川営業所を担務部門に、国交省中部整備局、県、市と「風害による停電・通信被害の低減を図る検討会」を発足。2回の検討会を経て、同会のWG委員である市、中部電、NTTが協力して昨年3~4月、市内の計37か所で大規模な現地調査を行って、台風に伴う倒木被害の傾向などを分析した。その集約結果を基に今月3日、市と中部電、自治会が市内の過疎地域で、さらなる詳細調査を行って「計画伐採の対象エリアとなる、台風時に市内で最も孤立しそうなエリア」(市)を選定。この後、月内に開催予定の市と中部電による定期会合を重ねながら「来年度に行う計画伐採の候補地を選出する」という。
なお、中部電は、掛川市のほか県内の島田市や藤枝市でも、官民共同のスキームで計画伐採を行うための検討を進めており、このうち先行する島田市は、昨年2回にわたって、市、中部電、自治会の共同事業となる「事前伐採モデル事業」を市内の2地区で行って計122本を伐採。現在は「同モデル事業の成果を踏まえて、来年度に県が新たに創設予定の防災支援事業の予算化を待って計画伐採を事業化したい」という。また、昨夏から中部電と計画伐採の事業化に向けた協議を開始した藤枝市も「林野庁の森林環境譲与税を利用した計画伐採の早期実現を目指す」考えだ。