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中部電 フレイル判定の産学協同実証実験を実施

 中部電力は、三重県や東京大学、同大発のベンチャーである日本データサイエンス研究所(東京都文京区)などと協力して、厚労省が主導する介護予防のための地域支援事業「フレイル検診」の簡易化・迅速化につながる新スキームの実用化を目指した産学官協同の実証実験を、県内の東員町で今年5月より開始する。フレイルとは「身体機能と認知機能が低下して、心身が共に弱った要介護・要支援の一歩手前の状態」(厚労省)を指す。英語のFrailty(虚弱)を元にした医療用語で現在、全国に300万人超が存在するといわれる。しかし、一方でフレイルは「適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能となる状態像」でもあることから、同省は現在、自治体によるフレイル対策の推進を目指して法整備を進めている。こうした動きに呼応して中部電などは、スマートメーターの優れた特性を活かして、各家庭の30分ごとの電力データと、各戸に配備する人の動きを感知する人感センサーから得られるデータをAIなどで分析して、対象家庭の構成人がフレイル状態にあるかどうか―を検知する実証を立案・実施するもの。
 20年度から開始する実証では、東員町内に住む単身の高齢者約30世帯にスマートメーターと人感センサーを設置。メーターとセンサーから送信されるデータをAI技術を用いて多角的に分析して、被験者のフレイルの有無を検知する。実証期間は集約作業も含めて21年3月までを予定しており、この間に収集・蓄積したデータを分析して、同スキームの早期商用化につなげる。既報のように中部電は昨年4月、スマートメーターから得られる様々な情報を活かして社会課題の解決を目指すため、今回の実証を共同で行う東京大や日本データサイエンス研究所、さらに中部電が電気通信事業のインターネットイニシアティブと共同で設立した、合同会社のネコリコ(東京都千代田区)と「スマートホームソリューションの高度化に資する、電力データ活用のための実証実験・共同研究において技術提携する」(中部電)ことで合意しており、今回のフレイル検診のほかにも、宅配便の急増に伴って近年、全国的な社会問題になっている「宅配便再配達の効率化」を実現するための共同研究などを進めており、こちらの取り組みも成果が注目される。