エネ庁 洋上風力拡大へ系統確保の仕組みを検討
経産省エネ庁は、洋上風力の拡大を目指した再生可能エネルギー海域利用法の運用における系統確保の方法について、必要な系統容量を予め確保することが可能な仕組みへ移行することを検討する考えを示した。昨年12月から、同省の洋上風力促進WGと国交省の小委員会が合同会議を設けて、再エネ海域利用法の運用について詳細を議論しており、今年4月に中間整理を取りまとめると共に、今後の運用にあたって、引き続き検討すべき論点を提示。このうち系統確保に関する論点としてエネ庁は、系統の承継条件と系統確保の主体に関する検討の方向性を示したもの。占用公募の前提として、他の事業者が選定された場合に、系統に関する契約を承継することを当該事業者に求める承継条件に関しては、公募の時点で同条件が明らかでないと、入札参加事業者は事業の予見可能性を確保できない―と判断。そのため、系統に関する契約の承継条件や、複数の事業者が系統を確保している場合の取り扱いなどについて、系統に関する契約を締結していた事業者と、これを承継する事業者の双方にとって「公平な条件に基づいて行われることを担保する」といった観点から今後、検討を進める。
またエネ庁は、促進区域指定の前提として、事業者に系統容量の確保を求めた場合、○区域指定の規模が、事業者が獲得した系統枠の規模に依存するため、洋上風力のコスト低減を進めるのに必要な規模で区域指定ができない、○陸上と異なり、事業者が同じ区域で重複して系統枠を確保し、本来系統接続できたはずの他電源が接続できなくなる―などの課題を指摘。合同会議の一部委員からは、「当面はやむを得ないとしても、将来的には、事業者の確保している系統を利用するだけでなく、予め国で系統を確保するといった方策を検討すべき」といった意見も挙がっている。