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経産省 分散型火力の遠隔監視制御視野に規制検討

 経産省は、現在、作業員による現場での常時監視が求められている分散型火力での「遠隔常時監視制御」方式における電気保安規制の見直しを検討する。スマートグリッドなどの普及に伴って分散型電源の需要が増加し、再生可能エネルギーを主電源とするエリアでは、調整力と位置付けられる小型火力の需要が拡大する見通し。さらに分散型電源の急増により、保守管理需要も急増することが見込まれており、同省は、現地作業員の五感や経験則などに基づく現場監視による判断など、人に多くを依存している現在の保守点検では、さらなる作業負担が生じることを懸念。一方で、国内の一部火力では、既にIoTやAIの活用により継続的にデータを取得し、事前に異常の予兆を把握した上で対策を行うなどの取り組みが進んでおり、遠隔常時監視制御でも現在以上の保安が確保できることが実証されれば、火力の保守管理の高度化を一層促進する―と期待する。

 遠隔常時監視制御方式の導入を想定した、電気保安規制の見直しに向けて同省は、分散型電源の遠隔監視制御活用拡大に関する調査を三菱総合研究所へ委託。同所は、汽力発電所などの同方式におけるリスク評価と、諸外国での分散型火力設備などの遠隔常時監視に関する実態調査を踏まえて、分散型火力で同方式を導入する際の規制を検討する上での5つのポイントを示した。具体的には、①適用対象設備の区分、②同設備の設備要件、③消防法などその他規制との関係性の整理、④リスクアセスメント手法の要件整理、⑤遠隔常時監視制御化と無人化のための実証による実績蓄積―を提示。これらの観点から今後、さらに具体的な検討・実証を進めていくことが必要―との見解を示した。なお、現行の電技省令では、汽力を原動力とする発電所やガスタービン発電所(1万㎾以上)などは、遠隔常時監視制御方式の導入が認められていない。一方で、消防法などは、発電所で異常事象が発生した際の応急の措置と、自衛消防組織の配置を義務付けており、発電所の管理体制については、電気事業法以外にも法的制約が設けられている。