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エネ庁 太陽光廃棄費用の新規論点に取戻し要件

 太陽光の廃棄費用を適切に積立てる制度設計の検討を開始した経産省エネ庁は、同検討における論点を示した。このほど「太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するWG」を設けて、原則として費用負担調整機関が源泉徴収的に積立てを行う「外部積立て」と、長期安定発電の責任・能力を担うことが可能な事業者を対象に認める「内部積立て」で構成する同制度に関する具体的な議論に着手。このうち外部積立てに関しては、○積立金の金額水準・回数・時期、○発電事業者が倒産した場合への対応、○特定契約との整理―のほか、新たな論点として、○積立金の流用を防ぐための「取り戻し」要件、○制度移行における既存の積立てとの整理、○費用負担調整機関へのガバナンス・社会コスト―を挙げた。同制度の検討にあたってエネ庁は、主力電源として太陽光事業の継続・普及につながる制度とすることを原則に、廃棄処理に必要な資金確保、費用負担調整機関などの関係者によるコストの最小化、長期安定発電事業による廃棄の最小化といった観点から検討を進める考え。

 新規論点のうち取り戻しに関しては、積立金が太陽光の廃棄処理以外の用途に流用されることを防止するため、事業者が積立金を取り戻す際に、一定の審査を行うことを想定。同審査が緩やか過ぎる場合は、積立金が流用されるリスクがある一方で、審査が厳格すぎる場合は、円滑な廃棄処分が妨げられることによる放置・不法投棄の増加や、審査のための社会的コストの増大といったリスクがあるなどの点を考慮して、取り戻し要件を設定する。また、発電設備の一部のみが廃棄される場合や、FIT期間終了後に、新たに同じ場所において事業を継続する場合の、積立金の取り扱いについても検討する。また、10㎾以上の太陽光の廃棄費用の積立ては、昨年3月以前は努力義務、同4月からは義務化されており、既に廃棄費用を積立てている事業者が一定数存在する。これらの事業者は、同制度への意向により外部積立てを求められても、資金繰りへの影響は少ないと考えられるが、スムーズな制度移行を図るためエネ庁は、既存の積立金の取り扱いや、その後の積立て義務との関係についても、予め検討する考えを示している。