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東京都 キャップ&トレードで電力メニュー対象に

 東京都は、CO2排出総量削減義務と排出量取り引きを組み合わせた「キャップ&トレード制度」について、20年度を新たなステージと位置付け、さらなる取り組みの強化を目指した見直しを行う方針を固めた。10年に開始した同制度は、20年度に第3計画期間の開始を迎えることから、「東京都環境基本計画」で掲げた都内CO2排出削減目標「30年までに00年比30%削減」の達成と、その先の脱炭素社会の実現を見据えて、新たな削減義務率を設定すると共に、再生可能エネルギーの利用に対する新たなインセンティブを導入する。都は今年度、気候変動対策に関する制度の20年以降のあり方に関する検討を推進。都内CO2排出量の7割を占める建物由来のCO2削減を中心に、さらなる省エネルギーと再エネ利用の拡充を強化するため、同制度をはじめ、中小規模の事業所を対象とした「地球温暖化対策報告書制度」や、大規模建物の新築・増築時に、建築主へ省エネ性能などに関する積極的な取り組みを求める「建築物環境計画書制度」について検討を行った。このほど、同検討結果を「気候変動対策に係る主な制度の20年からの取り組み」として取りまとめ、来月4日までパブリックコメントを実施する。
 オフィスビルや工場などの都内大規模事業所を対象とした、キャップ&トレード制度に関して都は、第2計画期間2年度目の16年度も基準年度比26%のCO2削減を達成し、継続してCO2の大幅削減に影響していることを確認。同制度導入により、経営層のCO2削減に対する関心がより向上し、積極的な設備更新が進むなど、全社的な取り組みが進展した―と指摘する。同成果を踏まえて、20~24年度までの第3計画期間では、基準排出量と設定方法を現行のまま継続する一方で、事業所の特性や今後の省エネ余地などを踏まえて、区分ごとに削減義務率を設定する。また、電力選択の多様化へ対応し、非化石価値証書や、電気事業者が供給する「電力メニュー」を低炭素電力として位置付け、同制度の対象に追加。さらに、第2計画期間に設定していた削減量の活用上限を撤廃し、kWhあたりの排出係数が0・37㎏以下の低炭素電力を調達した場合は、削減量として全量を算定することを認めると共に、再エネ電源割合が30%以上の電力調達時には、削減量の追加を可能とする方針を固めた。