NEDO 超臨界地熱の試掘に向けて調査を推進
NEDOは今年度、国内における超臨界地熱の「有望度ランキング」を行う。これまでにNEDOが実施した地熱調査から得たデータを収集し、同データのうち坑井調査により地熱温度250℃以上が確認された地域を抽出。それら地域の調査結果を再整理した上で、地熱系概念モデルの作成などを通じて、超臨界地熱資源が賦存する可能性を検討する。さらに、同取り組みの結果を基に、概略資源量の評価を行って、超臨界地熱の有望度ランキングを実施する。深度5㎞程度に存在する約500℃の超臨界水を用いる超臨界地熱は、CO2排出量の削減ポテンシャルが大きい新たな再生可能エネルギー源として期待されており、50年頃の普及を目指して、NEDOは同調査事業を推進。抽出した地域周辺の自然公園指定や国有林・保安林・保護林の規制情報をはじめ、アクセス道路、温泉地などの情報整理も行って、超臨界地熱の実現可能性評価につなげる考え。
一方で、超臨界地熱技術は、16年4月に行われた内閣府の総合科学技術・イノベーション会議において、革新技術の一つとして「エネルギー・環境イノベーション戦略」の中に位置付けられており、同戦略が示すロードマップでは、実現可能性調査、試掘のための詳細事前検討、試掘、試掘結果の検証と実証実験への事前検討、実証試験の5つのステップが組まれている。同ロードマップを踏まえてNEDOは昨年度、同地熱関連技術に関する実現可能性調査への取り組みを開始。それまでに実施した先導研究から、一定条件を満たす火山地帯の3~5mの深部には、約500℃の超臨界水が存在する見通しを得ており、①超臨界水の状態把握と、地下現象の予測シミュレーション技術、②超臨界地熱の実現に必要な材料・機器、③超臨界地熱発電システムの経済性評価、④環境影響の最小化と安全性確保―について検討した。同調査結果を踏まえて、今年度から20年度までの3年間にわたり、調査井に関する仕様の検討、要素技術の研究開発など試掘に向けた検討を進める。