東電HD 実を結ぶ福島大との廃炉人材育成研修
東京電力ホールディングス(HD)が、福島大学と協力して、福島第一、第二(計440万㎾)の両原子力で行う「マルチフェーズ型研究教育による分析技術者人材育成と廃炉措置を加速する難分析核種の即応的計測法の実用化に関する研究開発」研修が、8、10月に相次いで開講される。同研修は、長期的な取り組みとなる福一の廃炉に貢献できる人材の育成を図るために「民間だけでは着手しづらい中長期的基礎基盤研究について、東電HDとの連携により、多様な分野の叡智を結集して諸課題を克服しながら、安全・着実に廃炉措置を進めていく上で必要となる専門人材を育成する」(福島大)―という産学協同の取り組み。政府が策定した中長期ロードマップに掲げる「中長期の視点での人材育成及び大学・研究機関との連携」を具現するためのプロジェクトであると共に、文科省の「国家課題対応型研究開発推進事業(廃止措置研究・人材育成等強化プログラム)」の採択事業として、16年度から東電HDと福島大が協力して開講している視察と座学で構成する実地研修。
具体的には、福島大の教員、職員、大学院生、学類生―で18~20人のチームを組織し、同チームが年間2~4回、福一や福二を視察して、東電HDの担当社員から様々なレクチャーを受けながら、原子力設備の詳細や廃炉工程の各スキームに関する理解を深めることで、廃炉に関わる分析技術者、支援事業者などの養成につなげる。昨年度は約70人が同視察研修に参画。そのうち、11月13日と22日に福一で行われた研修では、計40人の受講者のうち、大学院と学類生が半数(19人)を占めた。22日に参加した大学院生は「事故現場では、想像のできない廃炉作業の過酷さに驚くと共に、多く人によって様々な作業が行われていることを理解した」という。今年度の研修は、8月2日に第1回、さらに10月中に第2、3回を福一で行う予定で、8月の第1回研修には、福島大と放射線教育を含む研究交流協定を結んでいる米コロラド州立大学の国際視察団5人も参加する。