NEDO 電力と水素の相互変換で標準化領域調査
NEDOは今年度、電力と水素エネルギーとの相互変換に関する標準化領域の調査を実施する。再生可能エネルギーの出力不安定化に伴う電力の需給ギャップを解消するため、長期大容量のエネルギー貯蔵手段となる水素の活用が有効―と指摘される中で、電力とガスの相互交換「Power to Gas(P2G)」によるエネルギーの有効利用に向けた取り組みが多数進められており、今後水素グリッドと電力グリッドの相互接続が活発化する見通し。そのためNEDOは、相互に融通するエネルギーの量や属性に関する情報交換に向けた、通信プロトコル、データモデルなどについての、新たな標準化領域を検討することが必要―と判断。電力と水素エネルギーの相互変換に関する国内外の実証事例や関連規格などの調査を進めて、内容を把握すると共に、電力と水素エネルギーの相互連携に必要な設備間の情報交換内容を把握・整理した上で、新たな標準化領域の特定に向けた検討を実施する。新たな標準化領域が存在した場合には、標準化に向けたアクションプランの作成を行う考え。
電力と水素エネルギーの相互変換に関しては、NEDOの委託事業として、東北電力が東芝、岩谷産業と共同で取り組みを進めており、昨年度から再エネを利用した大規模水素エネルギーシステムの開発を開始した。1万㎾級の水素製造装置を備えた同システムを構築し、20年度中にも福島県浪江町において実証を開始する予定。また、製造した水素を、電力への変換に留まらず、運輸交通や熱利用分野などに跨る、横断的なエネルギーに転換する「セクターカップリング」が、欧州を中心として浸透し始めており、水素の利用方法についても国内外で広く検討が進んでいる。